アラシたんをつくってみよう

後編〜。
<塗装編>
☆道具
コンプレッサーから消耗品のティッシュまで色々使います。 これからエアブラシ塗装を始めるという方はガスボンベを使う安物セットを買うのはやめましょう。 1個や2個のキットしか塗らないというならともかく、 これから何度か使っていこうという場合にはコンプレッサーを買った方が安あがりです。

・2mm真鍮線
・パーツを差す土台
・メタルプライマー
・サーフェイサー(ボークス)
・ハンドピース&コンプレッサー
・面相筆
・塗料&溶剤(クレオスのラッカーと田宮のエナメル)
・塗料皿
・爪楊枝、綿棒、ティッシュペーパーetc.

☆洗浄
キットの表面には離型剤という一種の油分がついてます。 そのまま塗装すると塗料がペリペリと剥がれてしまう事になるので、 まずは中性洗剤などでキットを歯ブラシでガシガシ洗ってこの離型剤を落とします。 中性洗剤に研磨剤の入った歯磨き粉とかクレンザーを混ぜると洗浄パワー倍増。
マスキングして塗り分ける部分は特に念入りに洗っておくとよいです。

最近では超音波洗浄器などというお洒落な装置(笑)があってこれに中性洗剤とキットを放り込んで ブイ〜ンとかますと綺麗になるそうです。便利やね。でもアラシたんは大きすぎで入らないのよねん(笑)

☆準備
各パーツに真鍮線を差して手で持てるようにします。 接着して見えなくなる位置にピンバイスで穴を開けて真鍮線を差し込みます。 うっかり貫通しないように注意しましょう。 パーツが小さかったり薄かったりで真鍮線を差し込むスペースが無い場合は、 竹串や爪楊枝などに両面テープを巻いてペトっと貼るとよいです。

アラシたんはパーツがでかいので2mmで。
足パーツは重いので転倒防止に2本差してます。
スカートは穴を開ける場所がないので竹串にといきたいところですが、 大きくて両面テープで固定するのが心許ないので手で持つことにしました(笑)

塗装したパーツを差しておく土台も必要です。壊れたゴム型がとっても使いやすいのですが、 そんなの一般家庭にはないので(笑)、油粘土とか発泡スチロールの塊とかを用意して下され。 アラシたんの場合は転倒しないようにがっつり差し込める大きめサイズのものが必要です。

☆下地塗装
キャストに直接塗装すると塗料が剥がれ易いので、 塗料よりもキャストに食いつくメタルプライマー(以下プライマー)や、 プライマー入りのサーフェイサー(以下サフ)をまず吹き付けます。 サフには細かい傷を埋めて塗装前に均一な塗装面を作る効果があるので、プライマー入りサフは一石二鳥なのです。 クレオスのレジン用サフとボークスのグレー&肌色サフが入手しやすいと思います。

<隠ぺい力>
ここでちょっとだけ用語説明〜。
例えば黒は下地が何色だろうが黒く塗ることができますが、黄色は下地が真っ白でない限り黄色になってくれません。 これは色によっては下地の色が透けて見えてしまう為です。 これを隠ぺい力がないとか隠ぺい力が弱いというような言い方をします。 隠ぺい力のない色を見た目通りの色で塗る為には下地を真っ白にしておく必要があります。おわり。

という訳で隠ぺい力がない色の前には白を塗っておけば良い訳ですが、困ったことにその白に隠ぺい力がありません。 そのため、グレーサフから真っ白にするには何度か塗り重ねる必要があります。 そこで白(1番)の前に隠ぺい力のある白(や明るいグレー)をまず塗って段階的に白くしていくと、多少は効率よく白くする事ができます。 スーパーホワイト、97番のグレー、316番のホワイト、あとベースホワイトというサフっぽいホワイト、 など幾つか候補はありますので試してみて下さい。
※追記:2007年現在ではいくつか隠ぺい力のある白が販売されています。 フィニッシャーズのファンデーションホワイト、ガイアノーツカラーのEXホワイト、GSIクレオスのGXクールホワイトなど。

さて、ここまで説明しておいて何ですが、俺自身は肌色や白に塗る部分にグレーサフを使うのはあまり好きではありません。 なにしろ真っ白にするのが面倒でツマラン(笑)のですよ。 そこで、例えば黒い髪の毛のような隠ぺい力のある色しか塗らないパーツにはグレーサフを、 肌色や白など隠ぺい力のない色を塗るパーツにはプライマー(無色透明)や肌色サフを吹くというように 使い分けをしています。

まとめるとこんな感じ。
隠ぺい力下地処理備考
グレーサフなんでもオッケーまっ白にするには多少塗り重ねが必要
肌色サフ色の濃いパテは透けるかも肌色を塗る場合に白くしなくて済みます
プライマー皆無丸見えサフではないので細かい傷は埋まりませんが、
下地が白やアイボリーのキャストなら白くするのは超簡単です

俺の場合は、グレーサフいやん→肌色サフかプライマーでいこう→隠ぺい力ないので下地処理ではパテを使わないで済ませるべし、となる訳ですが、 例えば『下地処理にはパテが最強だぜ!』という人がいれば、俺とは逆に、サフは隠ぺい力抜群のグレーに限るぜセニョール、 という事になるのではないでしょうか。
こういうのは本人の経験から生まれてくる価値観なので、どれが正解とかいう事はありません。 これから始める人は一番堅実なグレーサフ→白→色、と覚えておけば充分だと思います。

あと、所謂サフレス塗装という塗装方法がありますが、これについてはレプリカントのバックナンバーで詳しく解説されています。 サフを使わないのがサフレス塗装という訳ではなくて、キャストの透明感を生かして肌を塗装するという所がポイントです。 俺はやんないので割愛。

さて、話が長くなりましたが、要するにまず初めにサフ(プライマー)を吹いて、次に隠ぺい力のない色で塗る部分は 白くしておこう、という事です。
アラシたんの下地塗装は、髪の毛にグレーサフ、その他のパーツにはプライマーを吹きました。 さらに肌色と白で塗る部分には316番の白を吹いておきます。
グレーサフを吹いてあります こっちはプライマー→ホワイト

☆塗装
アフォになるので換気には気をつけましょう。
あと、湿気が多いと色々都合が悪いので、天気が良くて暖かい日に塗装するのが吉です。

以下、特に断らない限りGSIクレオスのラッカー系塗料を前提に書いてます。 模型用の塗料の種類などについてはこちらを参考にして下され。

塗装に関して基本から始めるのはちょっと辛いので簡単に書きます。プラモと一緒なので参考書籍には 恵まれていると思います〜。

1:調色
資料を参考に、近い色に赤やら黄色やら青やら白やらを足して作ります。 なにをどう混ぜたらどうなるかという事はよく分かりません(笑)
その辺りは経験と勘+試行錯誤でやってますが、 ちゃんと美術の本などで勉強した方がいいかも(^_^;

個人的にはPCでの16進表記からレシピを検索できるデータベースソフトがあるといいなぁと思ってます。 1600万色は必要ないけど中間を適当に省いてなんとかならんかね。あったらかなり便利ですよ。

2:濃度調節
エアブラシで塗装するのには適切な濃度というものがあります。 一般的な圧力で吹き付ける場合の目安は塗料1に対して溶剤1位だと思いますが、 実際に試し吹きして確認しながら調節します。 ちょうどいい濃度というのはどう表現したものやら分かりません。 2〜3回同じ部分を通過させるとその色で均一に塗れる感じの濃さです(笑)
濃すぎると蜘蛛の巣みたいなものが発生したり、粒子が飛んで着弾するのが見えます。 薄すぎるとなかなかその色になりません。

3:塗装
ムラにならないように塗装面全体に均一に塗っていきます。・・・説明のしようがないな(笑)

4:乾燥
土台に差して乾燥するまで放置。

それでは、アラシたんの塗装開始〜。 塗り方や使う色は自由なので、あくまでもひとつの例だと思って下され。

・髪の毛(ミッドナイトブルー)
髪の毛パーツは先に接着してしまうと塗装しにくそう(試してません)です。 なので塗装→接着→継ぎ目消し→再塗装という手順で進めます。

ダボの周りの塗料は拭きとります まずは接着すると塗りにくい内側部分を先に塗ります。 次にがっつり接着して、継ぎ目を綺麗に処理します。 髪パーツが収縮して合わせ目に隙間ができていたので、接着には瞬間接着パテを使っています。 パテ類はヒケる(収縮してへこむ)ので充分時間をおいてからやすりがけした方がいいです。 その間に他のパーツを塗装しましょう。

ヒケた(笑)のでラッカーパテで修正〜。だからヒケるんだってばよ。あはははは。アフォか俺・・・。
瞬着パテで接着して やすって サフ・・・煤i゚Д゚)ヒケタ! 再びやすってサフ 完了

最後にサフをエアブラシで吹き、もう一度塗装しておしまいです。 個人的にこの色だとグラデーションはいらないかなという感じです。

・ワイシャツ&ぱんつ&おめめ(ホワイト)
今回は肌色サフは使ってないので、肌色になる部分も一緒に白くしてます。

ワイシャツのシワなどの陰になる部分には薄紫をちょっと加えて吹いてます。 ぱんつはお好みの色で塗って下され(笑)

・肌(キャラクターフレッシュ+いろいろ)
足パーツのぱんつ、腕パーツのワイシャツ部分、顔パーツのおめめをそれぞれマスキングしておきます。
マスキングの手順はこちらを参考にしてみて下さい。
緑ぱんつ

基本色→シャドウ(基本色+α)と吹きます。 シャドウはピンク系とオレンジ系の2種類を適度に塗り重ねています。 シャドウ1色よりも微妙な色の変化があって味がでます(笑)

・セーター&ブーツの上の方(白+黄+???)
こういう色を作るのが難しいので上述したようなデータベースが望まれるのです。 白に黄色とかちょっとずつ足していって作るのですが、今できているこの色から目標の色に近づくには 一体何色を足せばいいのか分からん事がしばしばです。そんな訳なのでレシピは謎です。 白に黄色少しと赤と青をちょびっと入れましたが、他にも何か入れたかも(笑)

まず、ワイシャツの襟と、あんよをマスキングして、

基本色→シャドウ(基本色+茶色)と吹きます〜。
シャドウはグレー入れた方が良かったな・・・

・ブーツ(マホガニー+α)
ミッドナイトブルーとブラウンを適当に足して調節。 上部をマスキングしてから吹きます。マスキングした状態の写真は撮り忘れました。

・スカート(謎)
まずワイシャツの裾をマスキングしておきます。

スカートは、基本色、太い格子ライン、細い格子ライン、の3色です。 画面によっては太い格子ラインが黒で縁取りされている事もあります。調色レシピはよく分からんですが、こんな感じ。
基本色キャラクターフレッシュ2+色々
太格子マルーン
細格子キャラクターフレッシュ1+色々

さてさてマスキングの方法は2つ。
・基本色→太格子→細格子
・細格子→太格子→基本色
俺はあんまり塗り重ねしたくないので前者でいきます。 まずは基本色を塗って、太格子の縦用にマスキング。

と思ったけど、やっぱマスキングが面倒なので後者でいく事にしました(笑) 気を取り直してまずは細格子の色で全体を塗装し、乾燥したら格子の模様にマスキングテープを貼ります。 ここでは市販の0.7mm幅のテープを使っています。 次に太格子の色で全体を塗装。

次に1.5mのテープ2本で太格子の模様にマスキングして、基本色で塗装して完了。

塗り重ねのせいでテープの縁に塗料のバリができてしまったので、 優しくやすって一旦スーパークリアーで塗装。最後にトップコートでつや消し〜。

過去3回アラシたんのスカートを塗装しましたが、1回目が筆塗り(笑)、2、3回目は基本色→太格子→細格子(筆塗り)の順で塗りました。 今回初めて細格子→太格子→基本色の順で塗ってみたのですが、 俺自身次にもう一度塗る事になったとしたら今回とは逆順で塗装すると思います。 マスキング自体は相対的には楽なのですが、やはり塗料によってバリができてしまうのと、 マスキングした状態が長時間続くためテープが浮いたり、 うっかり手で剥がしてしまったりしてマスキング漏れが起きやすいのが気になります。

・おめめ、唇
俺はあんまり得意じゃありません(笑)
ここから田宮のエナメル塗料を使いますが、 その前に失敗した時に拭き取り易いように、目の周辺にスーパークリアー(もちろんラッカー系)を塗っておきます。

調色レシピは
まつげ、瞳の輪郭ブラック
瞳の内側グリーン+バークグリーン多め
瞳の外側、瞳孔グリーン+バークグリーン少なめ
ホワイト+レッド極少量
という感じです。

マツゲ→瞳の輪郭→瞳→瞳孔→ハイライトの順番で塗っていきます。 瞳の塗装が一番重要なので、ここは妥協せずに頑張りましょう。 瞳の中は一気に塗ってしまったので途中の写真がないっす。
まつげ〜 瞳の輪郭〜 瞳〜 アップ〜 トップコートでつや消し〜 おめめとくちびるをクリアーで艶やかに〜

・仕上げ
服によってはピカピカだったり半光沢だったりする方が良い場合もありますが、アラシたんはつや消しの 方が断然良いと思います。なのでここでトップコートのつや消しをぶわ〜っと吹きます。 湿気が多いと白っぽくなってしまうので乾燥した暖かい場所で吹きましょう。

☆組み立て
接着の前に接着面の塗料をシンナーで落とします。これをやっておくと接着強度が格段に上がります。 綿棒にシンナーをつけてダボ周辺の塗料を拭き取ります。 クレオスのツールクリーナーというシンナーがうすめ液よりも強力で便利です。 うっかり見える部分まで塗料を落としてしまわないように気をつけましょう。

あとはニヤニヤしながらしかるべき順番にパーツを接着していきます。
アラシたんの場合は
1.髪の毛に顔を接着
2.おでこに前髪を接着
3.足にスカートを接着
4.足に胴体を接着
5.胴体に両腕を接着
6.胴体に頭部を接着して完成
腕とスカートは丁度合う位置があるので、1度仮組みして確認してから接着して下さい。

ようやく完成〜!

☆ベース
折角なのでもうひと手間掛けてオリジナルのベースを作ります。 といっても市販の木製ベースに塗装するのだけです(笑) そのままでは塗料が染み込んでしまってチープな印象になってしまうので、 との粉で目止めをしてからサフ、塗料の順に塗り重ねます。
詳細は優香編の下の方を参考になさって下され。

☆完成
最後に足の裏にピンバイスで穴を開けて真鍮線を差し込みます。 接地面に垂直になるようにペンチで曲げて角度調整します。 丁度いい位置に見当をつけたら、ぎゅっと押し当てて真鍮線の跡をつけます。 なるべく垂直に穴を開け、平行にゆっくり差し込んで完成。


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